最判H18.2.27 刑訴402条「不利益変更禁止の原則」に関する判例

平成18年02月27日 第二小法廷決定 平成17年(あ)第1680号 道路交通法違反,道路運送車両法違反,自動車損害賠償保障法違反,業務上過失傷害被告事件

要旨:
1 第1審判決と控訴審判決の自判部分とが,いずれも懲役刑と罰金刑とを刑法48条1項により併科している場合に,控訴審判決の刑が刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑」に当たるかどうかを判断する方法
2 刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑」に当たらないとされた事例


件名 道路交通法違反,道路運送車両法違反,自動車損害賠償保障法違反,業務上過失傷害被告事件 (最高裁判所 平成17年(あ)第1680号 平成18年02月27日 第二小法廷決定 棄却)  原審 名古屋高等裁判所 (平成17年(う)第173号)

主    文
本件上告を棄却する。

理    由(一部抜粋)
 記録によれば,第1審は,主文を「被告人を懲役1年6月及び罰金7000円に処する。その罰金を完納することができないときは,金7000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。」とする判決を言い渡し,これに対し被告人のみが控訴し,量刑不当を主張したところ,原審は,刑訴法397条2項を適用して,主文を「原判決を破棄する。被告人を懲役1年2月及び罰金1万円に処する。その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。」とする判決を言い渡したことが明らかである。
 第1審判決と原判決の自判部分は,いずれも懲役刑と罰金刑を刑法48条1項によって併科したものであるが,原判決が刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑」を言い渡したものであるかどうかを判断する上では,各判決の主文を全体として総合的に考慮するのが相当である。そして,原判決の刑は,第1審判決の刑に比較し,罰金刑の額が3000円多くされた上労役場留置期間の換算方法も被告人に不利に変えられ,その結果労役場留置期間が1日長くされているが,他方で懲役刑の刑期は4か月短くされているのであるから,これらを総合的に考慮すれば,実質上被告人に不利益とはいえず,上記の「原判決の刑より重い刑」に当たらないことは明らかというべきである。

最高裁HP

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